豆知識

世界のラクトースフリー事情〜スーパー編〜(2020/01/30更新)

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スウェーデンのスーパーのラクトースフリー商品棚

ラクトースフリー食品とは

乳糖不耐症の不快な症状の原因となる「乳糖」をあらかじめ分解した食品のことを「ラクトースフリー食品」と言います。具体的な数値は国ごとに異なりますが、食品中に含まれる乳糖の割合が、概ね0.1~0.01%以下であるものを指します。

製造方法としては、乳糖分解酵素であるラクターゼを添加して乳糖をあらかじめ分解し、さらに殺菌することで酵素の働きを失活させてから出荷する、という方法が一般的です1。ラクトースフリーのヨーグルトなど、発酵乳を製造する場合は、ラクターゼと乳酸菌を同時に添加して乳酸発酵と乳糖の分解を同時に行うという方法が取られているようです2

「食品添加物」というと不安に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ラクターゼは酵母由来や麹菌由来のものであることが一般的で、その安全性は世界的に認められています

世界のラクトースフリー事情 〜スーパー編〜

残念ながら、乳糖含有率が0.1~0.01%以下のラクトースフリー食品は、日本では手に入れることができません。国内でそれだけの水準の製品を製造販売している食品会社がないためです3

一方、世界では「ラクトースフリー」の食品や、代替乳を使った食品の市場は日に日に拡大していっています。あるレポートによると、ラクトースフリー食品の市場は2018年に全世界で100億ドル(1兆1千億円)を越え、現在も急速に成長しているとのことです4

そうした国際的な動きを具体的に理解するべく、乳糖不耐症協会では、世界各国のラクトースフリー事情を収集しています5各国の現状と比較しながら、日本の現状を相対的に把握することが狙いです。

今回はスーパー編ということで、各国のスーパーの乳製品の棚を覗いてみることにしましょう。(2020/01/30 アメリカ編追加)

オランダ編🇳🇱

ヨーロッパ随一の酪農大国、オランダでは、普通のスーパーでもラクトースフリーの牛乳がたくさん売られています。左側の画像にある vrij の文字は、英語の free を意味していて、ラクトースフリー牛乳であることを意味しています。

また、右側の画像は、様々な種類の代替ミルクで埋められた棚の様子です。特に大きなスーパーでなくても、日本では見かけないようなオート麦やカシューナッツ、お米を使った代替品が販売されています

上段にあるのがラクトースフリーミルク
中段左からアーモンド、豆乳、カシュー、オーツ麦、下段左がライスミルク

ドイツ編 🇩🇪

乳糖不耐症の認知度が高いドイツでは、ミルクはもちろん、ラクトースフリーのチョコレートがたくさん並んでいます。

左側の画像に写っているように、80gのラクトースフリー・チョコレートが 1.19ユーロ(約150円)。右側の画像のヴィーガンチョコレートでも、1.89ユーロ(約200円) と、日本国内の相場から考えると破格の値段で売られています

チョコレートは脂肪分の高さもあってなかなか消化しにくいため、このようにラクトースフリーの代替品が簡単に手に入るのは羨ましい限りです。

この他にもラクトースフリーのクッキーなどが売られていました。

ナッツやホワイトチョコ、ストロベリーも
ヴィーガンチョコレート

スウェーデン編🇸🇪

スウェーデンのスーパーでは、ラクトースフリーの商品だけで棚がふたつ埋まっていました。乳製品全体の約半分がラクトースフリーや代替乳製品で占められているという、日本では考えられない状況がありました。

Laktosfritt (=Lactose free)と書かれた棚
その向かい側の棚もラクトースフリーで埋まっています

牛乳だけでなく、ラクトースフリーのバターやサワークリーム、カッテージチーズ、生クリームもたくさん店頭に並んでいます。

特にフレッシュチーズは乳糖がほとんど分解されていないことが多く、また生クリームも料理やお菓子作りに必須なので、こうしたオプションが充実しているのはとても重要なことだと思います。

Smörとあるのがバター
生クリーム
上段がサワークリーム、下段左がフレッシュチーズ

ポーランド編🇵🇱

ポーランドの首都、クラクフの中規模コンビニチェーン店では、ラクトースフリー牛乳が普通に並んでいます。

乳糖含有率が0.01%以下と、世界的にも最も厳しい水準をクリアしていて、この大きさのパックで90円くらいと、日本のパック牛乳と変わらない価格設定でした。コンビニで取り扱われているというのは、ラクトースフリー食品が日常に馴染んでいる証拠ではないかと思います。

ポーランドの首都クラクフのŻabkaというコンビニチェーン
真ん中のパックに書かれているBez Laktozy がラクトースフリーという意味

アメリカ編🇺🇸

ラクトースフリー市場が年々拡大しているアメリカのスーパーでは、有名なLactaidブランドの低脂肪牛乳や無脂肪牛乳、さらにはラクトースフリーのココアまで販売されていました。

カナダ編🇨🇦

カナダのスーパーでは、ラクトースフリーや乳製品不使用のアイスクリームが売られていました。なんと、あのハーゲンダッツの乳製品不使用のバージョンも!

カナダでは環境問題に対する責任の意識が非常に高いため、生産に必要な資源量が少ない植物性の代替食品が好まれるという面もあるようです。

乳不使用のハーゲンダッツ
ココナッツミルクを使ったアイス
写真に写っているアイスクリームは全て、乳糖不耐症でも食べられる

終わりに

以上、世界各国のスーパーのラクトースフリー食品の棚を覗いてきました。いかがだったでしょうか。

何でも海外が良いというわけではありませんが、個人的には日本でも少しずつラクトースフリー食品が手に入るようになるといいなと思っています。

皆さんも、旅先や滞在先などでラクトースフリー食品を見かける機会がありましたら、ぜひコメント欄やTwitterなどを通して教えていただければと思います!

乳糖不耐症協会では現在、乳糖不耐症の経験に関するアンケートを実施しています。また、リサーチ担当者や記事執筆者など、現在協力者を募集中です。当協会の理念にご賛同いただき、活動にご協力いただけるという方は、本ウェブサイトのお問い合わせフォームよりご連絡ください

注釈

  1. その他にも、極小の穴が空いた膜を使って乳糖を漉し取る「膜分離技術」という方法があります。この方法ではラクターゼを使用する必要がないため、乳糖を分解した際に生じる単糖類による食味の変化がなく、牛乳本来の風味をほとんど損なわないという利点があります(関 信夫「乳製品製造における膜分離技術」
  2. 乳糖が分解されるとガラクトースやグルコースという単糖類が生じるため、砂糖無添加でも甘味を感じられるヨーグルトなど、「ミルク本来の甘味」を引き出した商品開発が可能になるようです(濱口和廣(2011)「酵母由来ラクターゼ」
  3. 乳糖を8割カット(=2割に削減)した商品は日本でも売られているのですが、もともとの牛乳の乳糖含有率が4.5%なので、乳糖含有率は0.9%以上にとどまってしまいます。ただし、乳糖の8割はカットされているので、症状の軽減には十分役に立ちます
  4. Industry Arc, Lactose Free Food Market – Forecast(2019 – 2024)”
  5. この記事の執筆者が実際に訪れた国や、知人に撮影してもらったもの、Twitterで寄せていただいた情報などをもとにしています
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