制度・提言

世界各国での「ラクターゼ」の販売状況 〜 処方薬なのは日本だけ

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乳糖分解酵素「ラクターゼ」とは

「ラクターゼ」とは、腸内で牛乳に含まれる「乳糖」を分解してくれる酵素です。

乳糖不耐症は、このラクターゼを腸内で生み出す力が衰えることによって発症するため、この酵素を体外から補うことによって、症状を大きく抑えることができます。

しかし、このラクターゼ製剤は日本国内では医師の処方箋が必要な「処方薬」(医療用医薬品)に分類されているため、薬局等で気軽に購入することができません。他の先進国ではどのような扱いになっているのでしょうか

▶︎参考:「乳糖不耐症の対処法 − 「大人の乳糖不耐症」の対策

米・英・独・仏・加・豪でのラクターゼの扱い

乳糖不耐症協会では、厚生労働省「スイッチOTC医薬品の候補となる成分の要望募集」への要望提出の準備として、米・英・独・仏・加・豪6カ国におけるラクターゼの規制状況について調査を行いました。その結果、ラクターゼ製剤は、

  • アメリカ・イギリスでは栄養補助食品(サプリメント)
  • ドイツ・フランス・カナダではOTC医薬品(市販薬)
  • オーストラリアではOTC医薬品以下の区分の医薬品

として、それぞれ市販が認可されているという実態が明らかになりました。それぞれの国における具体的な販売状況については、以下の通りです。

アメリカでのラクターゼの扱い:栄養補助食品

アメリカでは、Dietary Supplement Health and Education Act (DSHEA)に基づき、栄養補助食品(dietary supplements)の一種としてラクターゼ の市販が認められています。これは医薬品規制の範囲外にあたり、OTC医薬品にさえ該当しない、医薬品と食品の中間のカテゴリーに相当します。

また、食品添加物としてのラクターゼ自体にもFDAによりGenerally Recognized as Safe(GRAS)の評価が与えられています。

イギリスでのラクターゼの扱い:栄養補助食品

イギリスでは、Food Safety Actなどに基づき、栄養補助食品(Food supplements)の一種としてラクターゼの市販が認められています。これは医薬品規制の範囲外にあたり、OTC医薬品にも該当しない医薬品と食品の中間のカテゴリーに相当します。

ドイツでのラクターゼの扱い:OTC医薬品

ドイツでは、ラクターゼは薬局販売医薬品(Apothekenpflichtige Medikamente)として、OTC医薬品の扱いで市販されています。処方箋の不要な非処方薬であり、薬局等で購入できます。

フランスでのラクターゼの扱い:OTC医薬品

フランスでは、ラクターゼは処方箋任意医薬品(Prescription Medicale Facultative)として市販されています。この区分の医薬品は概ね日本のOTC医薬品に当たり、処方箋の提示が必須ではないカテゴリーになります(控除等の関係で、処方箋を得てから購入する場合もあるようです)。

カナダでのラクターゼの扱い:OTC医薬品

カナダでは、ラクターゼはビタミン剤や民間療法で使われる薬草などが含まれるNatural Health Products (NHPs)というカテゴリーで市販されています。扱いとしては薬局等で購入できるOTC医薬品であり、非処方薬です。

Licensed Natural Health Products Database(LNHPD)によると、この枠組みで現在33種類の市販薬が認可されています

オーストラリアでのラクターゼの扱い:OTC以下の医薬品

オーストラリアでは、ラクターゼは消費者による「セルフアクセス」が認められるListed Medicinesとして承認を受けています。

この区分は、処方薬および大半のOTC医薬品が含まれるRegistered Medicinesの下のカテゴリーであり、実際、Australian Register of Therapeutic Goods(ARTG)のリストに掲載されている3種類の市販薬はいずれもOTC医薬品に該当しません。

まとめ:ラクターゼ製剤が医療用医薬品に指定されている先進国は日本だけ?

以上、米・英・独・仏・加・豪6カ国におけるラクターゼの規制状況に関する調査結果をお伝えしました。この6カ国の中ではラクターゼ製剤が処方薬に指定されている国はなく、アメリカ・イギリスに至ってはサプリメントとして市販されています

今回は省略しましたが、EU加盟国での基準はほとんどがドイツ・フランスの例と同様であり、ラクターゼ製剤が処方薬に指定されている先進国は日本だけではないか、という事実が明らかになりました。

以上の調査結果をもとに、乳糖不耐症協会では改めて、一刻も早いラクターゼのOTC医薬品化を求めていきます。

▶︎参考:「ラクターゼの市販化に向けて 〜 スイッチOTC化の提言

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